インタビュー

デザイナーインタビュー

メンズバッグ売り場の隙間を狙って誕生したバッグブランド。

2017年で創業10年を迎えたバッグブランド、Kiefer neu(キーファーノイ)。ビジネスとカジュアル、両シーンで活躍するマルチなデザインで幅広く大人の男性から支持を得る同ブランドを支えるメインデザイナーの向井栄進さんに、開発秘話やブランドのコンセプトを伺いました。

Designer Profile
向井栄進さん

約30年前に老舗バッグメーカーに入社して以来、バッグ業界一筋でモノ作りを続けるフリーランス・デザイナー。ヴィンテージの作りから、現代のコレクションブランドのデザインまで幅広い分野で研究を続け、トレンドを取り入れつつもユーザーのライフスタイルを引き出すバッグを提案する。

 

こだわりを説明する向井デザイナー

Q. Kiefer neuには一貫したコンセプトはありますか?

A. 向井さん(以下向井):「私がKiefer neuに携わるようになったのは約8年前。ブランドがスタートして、2〜3年目の頃になります。その頃に自分が開発しようと決めたのは、メンズバッグ売り場の隙間を狙う商材。当時のメンズ売り場はあらゆる層に向けたバッグが展開されていて、すでに飽和状態だったんです。

 とは言っても、当時はメンズバッグっていうとダークカラーのバッグが当たり前。だからまず考えたのは、メンズバッグの中でカラー展開をすること。また、デザイン的にユニセックス的な切り口の商品をメンズバッグで展開すること。女性でも持てるような柔らかい雰囲気のビジネスバッグですね。そこで発表したコンセプトがいまもブランドのベースになっています。

シリーズ毎に全く異なる表情を見せてくれるキーファーノイのラインナップ

Q. そのコンセプトは向井さんが決めたんですか?

A. 向井:社内で話し合いながらコンセプトを決めて、物に落とし込むデザインを担当したのが私になります。当時はこんなカラフルなカバンはなかったんですよ。グローバルブランドもメンズバッグではダークトーンが当たり前の時代なので、そこと戦わなければいけなかった。だから素材にもこだわって、イタリアのタンナーのフルベジタブルタンニンなめしのヌメ革をハンドルなどの部材に使用しています。それによって、独特な発色を表現できたり、使い込んだ先の経年変化、馴染みやすさを実現できるんです。

イタリアを中心に様々な素材を選りすぐりカバンへと昇華させていく

Q. 確かに今でもカラーバリエーションの多さはブランドの強みの一つですよね。

A. 向井:そうですね。ボディが同じ色でも部材の色が違えば全くべつの雰囲気になるので、同じシリーズでいくつも買ってくれる人もいるんですよ。型押しや迷彩など、一見ビジネスバッグでは使わなそうなものも積極的に作っています。世界のコレクションで多く出た色なんかも参考にしながら、トレンドとして取り入れてみたり、あえてこの色はないなっていうのに挑戦してみたり。ファッションとビジネス、常にその両方の軸は意識しています。

キーファーノイのブランドアイコンとも言える編み込みには並々ならぬこだわりが

Q. ユニセックス的なデザインはどんなところで表現しているのですか?

A. 向井:一番わかりやすいのはデビュー当時からやっている手編みのハンドルです。当時はこういう装飾があるバッグをビジネスに使うこと自体が少し女性的な要素だったんですよ。また、シルエットもあえて丸みのあるパターンを採用することで少し柔らかい雰囲気を演出できるんです。こう言う味付けが女性目線から見て、彼氏とか旦那さんにオススメしやすいという声も聞いています。

 また、手編みのハンドルは私が一番こだわったパーツでもあるんです。私は、レザーバッグはハンドルが顔だと私は思っています。このハンドルは5年間くらい研究を重ねてようやくできる工場と出会えた。ハンドルはカバンと自分をつなぐ唯一のパーツなので、ヌメ革を使用するのは馴染みやすさや経年変化も考えてのことなんです。手で持つ部分は、どうしても汗をかくのでヌメ革の方が馴染みやすいし、ヌメ革って半製品って言われるくらい、ユーザーが使い込むうちに馴染んできて完成するものなんですよ。

Q. ユニセックス的なデザインは当時の市場ですぐに受け入れられたんですか?

A. 向井:それは地道な販売努力があってこそですが、そもそもKifer-neuは、隣の百貨店とは違うものを置きたいっていう、新しいものを受け入れる体制ができているバイヤーさんが先に目をつけてくれた。だから意外と自然に受け入れてもらえた気はしますね。

向井デザイナーがプライベートでも愛用するキーファーノイのアイテムたち

Q. ターゲットとして想定するライフスタイルはありますか?

A. 向井:オンとオフで使えるバッグっていうテーマがまず念頭にあって、イメージするターゲットは仕事も遊びも盛んな行動力のある男性です。機能とファッションが両立しているバッグをイメージしているので、年齢で切るというよりは、感性の高さでターゲットを考えています。カバンを持つことによって、その人の色気を引き出せるような、カバンをきっかけに他のことも気にしようかなと思えるような、そんな存在でありたいですね。

 例えば、ダークのスーツを着ていても自分の個性を出したい人は、この赤いバッグを持ったら少しいつもとは違った雰囲気に見える。で、そういう人はさらに、靴にもこだわるだろうし、時計にもこだわるだろうし、そういうきっかけになりたいという思いもありますね。

 バッグはほとんどの人は必然的に持つものだと思うのですが、その上でツールであることに加えてもう一個上の意識をもたせたい、というニュアンスですかね。機能ばかりを謳うのではなく、もっとデザインや色、感性に訴えかけるバッグでありたい。

Q. オン/オフで使えるためのデザイン的なこだわりを具体的に教えてください。

A. 向井:例えば色もそうですが、メンズバッグは芯材をしっかり入れてカチッとさせたものが多いんです。キーファー・ノイのアイテムももちろん、芯材は入っているんですが、シルエットが固くなりすぎないよう意識しています。芯材がないと、雰囲気的にビジネスに合わないし、長く使えなくなってしまう。だから、そのバランスや芯材の入れ方にはかなり気をつかっています。

一つとして同じものは無いムラ染めが人気の秘密

Q. シリーズはどう分かれていますか?

A. 向井:バッグを持つシーンや素材使いで分けているものが多いですね。例えばビジネスシーンをメインに考えているアイテムは特殊なカラーを使いながらも、表面は派手になりすぎないデザインに落とし込んだり。出張が多い人をイメージしたモデルでは例えば一泊二日くらいの容量があって、PCスリーブがあるものや、キャリーバッグの持ち手に挿して携帯できるものなんかもあるんです。使う人のライフスタイルに合わせて選んでもらえたら嬉しいですね。

製品化前の渾身のフラッグシップモデル

Q. では最後に、今後向井さんが作ってみたいアイデアはありますか?

A. 向井:サンプルで作ってみて、値段が合わせなくてまだ製品化できてないんですが……、ボディまで全てヌメ革の手編みのバッグがこれなんです。デザイン的にも幅広いシーンで使えるし、使い込んで行った先の表情もかなり楽しみですよね。いつかは製品化したいのでお問い合わせ貰えれば限定で作るかもしれません(笑)

投稿者プロフィール

株式会社マツモト
株式会社マツモト運営
戦後間もない昭和23年にかばん類の卸売から始まった株式会社マツモト。日本の文化とも言えるランドセルをはじめ、そのモノづくりのDNAを受け継ぐメンズバッグブランド「Kiefer neu」を展開しています。

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